『桐島、部活やめるってよ』

スクールカーストのほぼ全域を捕捉しているように思う。学生生活から離れて幾数年経つので、感覚が鈍っている可能性は充分にあるけれども。色恋沙汰に慣れている男と女がいれば、オタクも含む部活動に懸命に取り組む人たちがいる。もしかしたら憧れの上位層美女と仲良くなれるんじゃないかと、否が応にも期待を膨らませてしまい、その後見事に打ち砕かれる様なんて、超「あるある」であり、懐かしかった。
何でもできる人間と努力しても結果が出せない人間の思いとぶつかり合いはありふれたテーマかもしれないけれど、その現実に敢然と立ち向かう彼らの姿勢が印象に残っている。
登場人物は皆キャラクターが立っていて、一人残らず輝いていた。一瞬、橋本愛のキャラがブレるのかと思ったが、最後にピシっと筋を通してくれる平手打ちが見れて胸のすく思い。あと、大後寿々花の演奏をやり切ったの会心の笑顔が素晴らしかった。
スクールカーストの底辺にも光を当て、上位層との絡みも通して彼らの生活を活き活きと描いてくれたことにもどこか救われる思いがある。決して、平身低頭でものごとをやり過ごすだけでなく、自分の世界を侵される時には自力で立ち上がって自分を主張する。良かったよね。
最後のシーン、ヒロキ(ルックスよしで運動神経抜群のモテ男)がなぜ神木くんを見てうろたえ涙を流すのかは理由が分からなかった。何でも実現できることが当たり前の自分にとって、確実な目標はないけれど平凡の延長線上にかすかに託す夢希望をもつ神木くんの純粋さと素朴さが眩しく見えたのかしら??新しい価値観に出会ったことの戸惑い??とにかく、違うステージに住む二人の異文化交流の末に、何かを感じ取ったんじゃなかろうか。
誰もの背中を押し、「これから頑張れ!」と言ってやりたくなるような、そんな爽やかな作品だった。勿論、自分のダメダメさは棚に上げてね。

追記

はてブでホットエントリーになっている、この映画に関する批評を読み、いかに自分の見方が見当違いか痛いほど理解したのだけど、恥辱にまみれた自分こそが自分なので、このまま文章は置いておこうと思う。恥さらしの人間。フヒヒ。