『トガニ 幼き瞳の告発』

前知識なしで、タマフルで一言評判の良さを聞いたので行ってきた。
予想外の裁判モノ。いや、本質はそこではないんだけどね。実話を元にした言わば告発作品で、こういう作品をみると自分に何ができようか、自分は悪を鑑賞するだけ(消費するだけ)の悪趣味な唾棄すべき人間なのではなかろうかと思ってしまう。それだけに、この作品が韓国内で現実に影響を与え、事件解決への取り組みの一助となっていることを知って少し胸をなでおろした。
事なかれ主義の官僚体制はアジア特有なのか、本来の志を失った権力機構ほど厄介なものはない。悪を誤魔化すためだけのうさんくさい慈善事業の実績は、また自分の自薦事業に対する偏見の意識を強化させてしまった。しかしまぁ、ここまで中身の醜い人間がいるものだ。しかしそれを許すまじと糾弾する彼らもまた同じ国・民族である。日韓(および日中)関係が騒々しい昨今であるが、ひとつの国名だけで十把一絡げに相手(人間)を認識することは誤りであると、この作品を見て強く意識するのである。
悪との戦い(裁判開始)までは展開がテンポ良すぎてどこか軽薄な感もしたが、以降はのめり込まされる。彼らが怒りで泣き叫ぶ時、こちらも怒り震えて歯を噛むことになる。コン・ユは藤井秀悟似のイケメンで、チョン・ユミはストライクど真ん中の美人であったことは、蛇足として書き留めておきたい。