2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『恋愛雑用論』/絲山秋子

絲山秋子の描く屹立とした女性と山崎ナオコーラの描くそれは似通っているように思えるのだけど、どうだろうか。これくらいに自分の意見を持って、自分の意思で世界を見、自分の感情を正としなければ、自分の人生を歩んでいるとは言えないのだろうか。最近は…

『十三月怪談』/川上未映子

自分が幼少の頃から患っている病気が腎臓のそれであるから、どうしてもそこに敏感に反応してしまって冷静には読めなかった。ていうか、腎臓の病気ってそんなに進行が早く死に至るものってあったっけ?発見が遅れれば致命傷になるのはそうだけど…。 愛しあう…

『奇貨』/松浦理英子

最近は孤独な中年(男女問わず)が主役の小説となると興味津々で読んでしまうから困る。つまりは自分の近い将来の予習ということ。純文学なんて知ったこっちゃなくて、こんな俗な触れ合いしかできないのが自分である。 孤独が身に染みる40代男性(本田さん)…

『トガニ 幼き瞳の告発』

前知識なしで、タマフルで一言評判の良さを聞いたので行ってきた。 予想外の裁判モノ。いや、本質はそこではないんだけどね。実話を元にした言わば告発作品で、こういう作品をみると自分に何ができようか、自分は悪を鑑賞するだけ(消費するだけ)の悪趣味な…

『桐島、部活やめるってよ』

スクールカーストのほぼ全域を捕捉しているように思う。学生生活から離れて幾数年経つので、感覚が鈍っている可能性は充分にあるけれども。色恋沙汰に慣れている男と女がいれば、オタクも含む部活動に懸命に取り組む人たちがいる。もしかしたら憧れの上位層…

京王フローラルガーデン

親が上京してきて、どこか観光に連れて行ってあげたかったところに、本人から希望があったので行ってきた。炎天下の、京王フローラルガーデン。 花もこの酷暑でヘタれ気味だった。もう少し涼しくなってから、植物園とかにも行きたいな。

『おおかみこどもの雨と雪』

面白かった。母親の花は、the 善人とでもいうべき人物。困難を全て一人で背負い込み、労苦を厭わず、そして乗り越えていく。 狼の子供だからといって極端に世間を避ける母親の様を見ていて、思わずにいられなかったのは、例えば現実にある発達障害やADHD等の…

風邪をひきながら誕生日を迎えた(16日ではない)。はや28歳。上京してきた時と何ひとつ成長していない現実が怖い。本来であれば経験しておくべきであった事柄をほぼ全て未達成。完全無欠の欠陥人間。地獄への片道切符は、待ったなし。

『ハイ・フィデリティ』

音楽好きのプレイボーイが主人公のお話。同棲していた彼女が出ていくことに端を発してこれまでの自分の半生を振り返り、音楽にまみれながらこれからの自分の人生を模索するという展開。どうやら重きは音楽オタクのための映画だそうで、洋楽フリークの人が楽…

『クリミナル』

詐欺師のお話。さぞ痛快な「やられた」感を期待していたのだけど、提示されるどんでん返し(と思われるもの)は終始インパクトに欠けたように思う。なんとか最後まで見切れた。

『いつも彼らはどこかに 第一回・帯同馬』/小川洋子

面白かった。こんなに暗い人生を題材にする作家さんとは思っていなかったので吃驚した。 遠距離への移動に恐怖を覚える女性が主人公。デパートでのデモンストレーションガール(試食をすすめる売り子さん)を生業としている彼女のその気質も異常さをもつが、…

体調が悪い。高熱が出なくてもこんなにしんどいものがあるんだな。じわじわと、しかし確実なしんどさが長期的に続くもんだから、体力がだいぶ低下したように思う。風邪は、汗をぐっしょりとかいて一気に治してしまうのが常。それが通用しない夏風邪、おそる…

『K』/三木卓

人の、夫婦関係まで含む半生を聞く機会は貴重で、飾り気なくここまで記してくれた作品と出会えたことは今後の指針になりそうな気がする。小説家の自伝的な作品とは読み易く人生訓も得られ、いいものだと思った。 自分に少しコンプレックスを持っていてふられ…

『ダークナイト ライジング』

キャットウーマン、びゅーてぃふぉー。 増田に“ダメな理由”をつぶさに書かれてしまっていたのでもはや備忘録を書き留めておくモチベーションもないが、一言だけ。 面白いか面白くないかの二択で言えば断然面白い。綻びがあっても映像やかっこよさ(雰囲気)…

聴きたいアルバムがあるってのは幸せなもんだ。

女たちのサバイバル作戦 ネオリベ時代を生き抜くために 第4回 ネオリベと少子化/上野千鶴子

思わずして、遭遇。モテ願望にまみれつつミソジニーにかかった自分には、上野千鶴子の評論は面白くて仕方がないようだ。女性を過去「クリスマスケーキ」、今は「大晦日」と例えること、こういう物言いを知って「うわ、おもしれぇ」とか思ってしまうあたり、…

『仲良くしようか』綿矢りさ

どうした、どうした。女優の体(てい)で書いてみた?ちょっと自意識過剰で、自傷癖があったりして、男性依存的で、美しくて、上辺だけのマナーを虚構に感じてみたりする、少し背伸び気味の女の子。自分は読んでいないけど、そういえば女優を主人公にした小…

『曖昧な風が吹いてくる』/馳平啓樹

また(というと失礼かもしれんが)下請け自動車部品メーカーの悲哀が主人公。相変わらず文章が上手い。働くってこんなに気が重く苦しいものか、嫌になるくらい伝わってくる。ここまで人を酷使して、かつ、将来が見えないなんて、日本はなんて国になっちゃん…

活字中毒気味。勉強はやる気がしない。小説しか読めない。とりあえず何も考えずに文字だけを追っていたい。人の考えることや思い、知らない世界を(想像上でも)摂取することがたまらなく面白い。文字の羅列の摩訶不思議。知識は、取り込めない。何故だ。

『水の音しかしない』/山本澄人

東日本大震災を意識して書かれていることは序盤ですぐに分かる。突然いなくなった同僚とか午後2時46分の単語とか。でもなぁ、結局何が言いたかったのか分からない。ファンタジー要素が強く始まるために、「現実感あふれた日常からの突然の悲劇」というには焦…

『ヘルタースケルター』

沢尻エリカ、マジ美人。驚くべき美貌。いきなり裸体を晒す、その根性に乾杯。美しいわぁ。 美という表層でしか評価されないことへの苦悩、そして破綻。でもね、美しいことが好きなのに自分の顔は醜悪で、それでもそれを晒しながら生きていかなければならない…

『八月は緑の国』/木村紅美

32歳の独身女性と女子大学生。二人の視点が交互に繰り返される小説って、面白いよね。個人的には32歳独身女性のやさぐれ感が好み。そこまでするかって点はところどころあるけどね。そして、若い(華の盛りである)女性から32歳独身女性を見るとそりゃあそう…

『髪魚』/鈴木善徳

老いた人魚を拾い、家に連れて帰る。いきなりのファンタジーでこれは自分には合わなさそうだという予感も、その読みやすさからぐいぐい引きこまれ一気に最後まで読まされた。面白かった。消費社会の虚無に対する警鐘は既にありふれた視点ではあるけれど、家…

『きんのじ』/馳平啓樹

倒産寸前の自動車会社で働く主人公。自分のことをどこか価値のない人間と思いつつ、拾ってもらった会社に恩義を感じ、グローバルだとか億万長者だとか一切無縁の仕事(芝生ガーデニング)をいい具合の低温で愛している。女っ気は全くないけど一方的な一目惚…

読んだ本の感想、棚卸。分かったのは、どうやら文學界という雑誌が自分の好みであるということ。フヒヒ。